九州と本州の間にある関門海峡。瀬戸内海の最西端にあたり、海上にはタンカーや貨物船などが数多く通過する海上交通の要衝でもあります。今回は「瀬戸内の玄関口」ともいえる関門海峡に面する、山口県の『みもすそ川公園』をご紹介します。
関門海峡のシンボル「関門橋」が目の前に
みもすそ川公園一番の見どころは1973年に開通した『関門橋』。海面からの高さは61m!九州側の門司と本州側の下関をつなぐ全長1068mの吊り橋で、開通当時はその橋の長さが東洋一であったと言われています。
ライトアップされた関門橋も美しい
夜にライトアップされた関門橋の姿も美しいです。現在、関門橋は関門自動車道の一部となっています。本州と九州は関門橋だけでなく、海底にあるいくつかのトンネルによっても結ばれています。JR山陽本線が走る世界初の海底鉄道トンネル『関門鉄道トンネル』、山陽新幹線が走る「新関門トンネル』、国道2号線の『関門国道トンネル』、そしてもう一つ『関門人道トンネル』という、歩いて渡れるトンネルがあるのです。
関門人道トンネルが面白い
みもすそ川公園のそばに「関門人道トンネル」の入口があります。入口には料金箱が置かれていますが、歩行者の通行料は無料。原付と自転車も押して通行出来ますが、20円の通行量がかかります。人道トンネルを通行出来るのは朝6時から夜10時までです。
エレベーターに乗って海底へと降ります。
山口県と福岡県の県境をまたぐ
関門海峡の海底にやってきました。ここは海底60mにあたるそうです。人道トンネルは国道2号線の一部になっており、この上に車道が通っています。さっそく「門司」と書かれた方面に向かって歩いていきます。
人道トンネルの全長は780m。緩やかなアップダウンもあり、雨風の影響も受けないため、地元の人のランニングコースにもなっています。
こちらが人道トンネルの名物「県境」です(笑)下関側から400mほど歩いた山口県と福岡県の県境の線が引かれています。ここでは県境をまたぐ写真を撮ることも出来ます。さらにここから380m歩き、エレベーターで地上に出ると、そこはもう九州の地です。
みもすそ川公園で歴史に想いを馳せる
みもすそ川公園は源平合戦の舞台である壇ノ浦に面していることから、源義経と平知盛の像が置かれていたり、幕末の下関戦争で外国船に対する砲撃に使用された長州藩の大砲(レプリカ)が並んでいたりと、関門海峡周辺が日本の歴史的にも重要な場所であったことを伺い知ることが出来ます。
関門海峡は今も昔も重要な拠点
公園の前に広がる海は関門海峡の最狭部にあたり、その幅は700m。「早鞆の瀬戸」と言われ、国内で3番目に潮の流れが速い海峡です。「世界屈指の海の難所」と言われる一方で、地理的な条件のよさから、1日に往来する船の数は500隻以上!遣唐使の時代から船の往来は盛んだったそうです。関門海峡は今も昔も交通と物流の重要な拠点となっています。
こうした関門地域の歴史は「関門“ノスタルジック”海峡」として、2017年に日本遺産にも登録されています。
おわりに
みもすそ川公園には無料の駐車場やお手洗いもあるので、人道トンネルとあわせて、ふらっと散策をするのにおすすめです。近くにはロープウェイもあるので、山の上からの景色を見ることも出来ます。瀬戸内を訪れる際は、その最西端まで足を運んでみてはいかが。
合わせて行きたいスポット
・関門の台所「唐戸市場」
・武蔵と小次郎が戦った「巌流島」
・安徳天皇を祀る「赤間神社」