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一青妙の四国サイクリング紀行【その3】鳴門海峡

鳴門海峡

 四国と台湾はほぼ同じ大きさだ。どちらも海岸線を中心にぐるっと一周すれば1000㎞くらいとなる。自転車で両方を走った私の感想としては、しんどいのは断然、四国一周。アップダウンがきつく、ペダルを踏む足がつらい。しかし、美しいビューポイントにたどり着くと、疲れもどこかに消えてしまう。

徳島県鳴門市の「瀬戸内スカイライン」は瀬戸内海、ウチノ海を結んだ全長約8㎞の県道。道路は湾曲したり、起伏に富んでいたりと、テクニックを試したいドライバーの腕試しコースとしても人気が高い。

 それまで軽快だったペダルが、急勾配にさしかかると一気に重い石のようになる。鳴門スカイラインのハイライトで2つの峰を結ぶ四方見橋が近づく。地面の白線を見つめ、息を切らしながら、ひたすら頂上を目指して進む。「おぉ~」と先を行く仲間の声で頭を上げると、信じられない光景が広がっていた。

 手招きしているうさぎのような雲が青空に浮かんでいる。穏やかな瀬戸内海がキラキラと輝く。心拍数も徐々に落ち着き、自転車を端に寄せ、走ってきた道を振り返ると、一直線に伸びるジェットコースターのような急斜面。「こんな坂を登ったんだ」と我ながら感心した。

 鳴門大橋と淡路島が遠くに見える。ウチノ海に釣り用のイカダがプカプカのんびりと浮いている。パノラマの瀬戸内。とびきりの景色に、坂道の疲れは一気に吹き飛び、「ああ、来てよかった」と心の底から自分を労った。

 

一青 妙(ひとと たえ)

台湾の名家「顔家」長男の父と日本人の母との間に生まれる。現在は作家・女優・歯科医をマルチに活躍。主な著書に「私の箱子」「環島 ぐるっと台湾一周の旅」など。四国一周サイクリングPR大使、愛媛台湾親善交流会PR大使を務める。

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