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台湾有情 台湾電力旧社長邸(台北市)

〝台湾電力の父〟台湾電力の父と称される実業家、松木幹一郎(1832~1932 年)が愛媛県西条市で生まれ、来春で100年になる。松木は関東大震災で壊滅した東京を復興する計画を立てた「帝都復興院」の副総裁を務め、渡台。台湾電力社長に就任し、当時東洋一のダム「日月潭」と台湾初となる発電所を昭和9年に完成させた。おかげで台湾は一気に電化し、発電所は今も台湾の水力発電の56%担うという。

「日月潭」は近年、世界のサイクリストの聖地とされるほど風光明媚なサイクリングロードで知られ、瀬戸内しまなみ海道とは姉妹自転車道協定で結ばれる。

2018年、台北市の台湾電力本社を訪れた際、対応してくれた職員が機転を利かせて、松木が暮らした邸宅を案内してくれた。台湾電力が管理しているようだ。驚いたことに邸宅は台湾総督府や最高裁判所のすぐそばにあり、敷地の周りは高い壁で囲まれている。一般の人はまずわからないだろう。頑丈な門から入ると広々とした芝生が公園のように広がり、洒落た西洋風の建物がぽつんと立っていた。第二次大戦後、革命的な変遷をたどった台湾の中枢エリアで、まるで時間が止まっているようなところだ。今も会議で使われているという。応接間には松木の肖像写真とネームプレートが掲げられていた。

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黒田仁朗
黒田仁朗
著書:「山折哲雄の新・四国遍路」(PHP研究所)、「ゆすはら物語」(東海教育研究所) 。元産経新聞記者。 著書:「山折哲雄的新・四國遍路」(PH研究所)、「檮原物語」(東海教育研究所)。前產經新聞記者。