砥部町を代表する窯元「千山窯」と台湾・新北市立鶯歌陶瓷博物館をオンラインで繋げ、リアルタイムで砥部焼の絵付けを体験するイベント「オンライン砥部焼講座」が3月15日に行われ、約50人が参加した。同イベントは「MOBURUブラス」をプロモーションするMOBURU コーポレーションが企画、制作、コーディネートし、参加者に抽選で砥部焼の皿をプレゼントした。
「みなさーん。鉛筆でかるくアタリをつけて、その上から筆で思い思いの絵や柄を描いてくださーい」。
「千山窯」の藤野明紀常務が名調子で絵付け方法を説明し、絵付け師の渡辺隆さんが鮮やかな唐草模様を描く。台湾からどよめきが上がった。参加者の手元には砥部で焼いた素焼きの蕎麦猪口が配られている。
絵付けの絵具(顔料)と本焼きに使う釉薬の調合や本焼をするために必要なデータは千山窯から鶯歌陶瓷博物館に伝え、コロナ禍の2021年12月、台中市と台北市で実証実験的に小規模開催されたが、好感触だったことから台湾陶磁器文化の拠点となる鶯歌陶瓷博物館が本腰を上げた。「台湾で砥部焼ならではの藍色(砥部ブルー)を出そう!!」。
博物館の研究員たちは焼成実験を重ねていたが、答えは焼き上がってみなければわからない。
鶯歌陶瓷博物館の会場内には大きなスクリーンが設置され、あたかも隣の部屋に千山窯があるかのような気持ちになる。スクリーン越しに張啓文館長や砥部町の佐川秀紀町長のほか、砥部焼販売協同組合の泉本明英理事長、砥部焼伝統産業会館の前田正則館長、愛媛県立松山南高校砥部分校の山口泰弘分校長や教職員、同校と姉妹校提携を結ぶ鶯歌高級工商職業学校の顔龍源校長が挨拶を交換し、「観光規制が緩和されたら相互に訪問し、交流しましょう」などと呼び掛け合った。
台湾と砥部を繋ぐオンライン砥部焼講座は日本台湾双方のマスコミでも取り上げられた。
焼き上がりも見事。台湾で砥部焼が誕生した。
参加者たちからは「ぜひ、砥部に訪れたい!」という要望が高まり、台湾・砥部双方で視察旅行が計画されるに至った。