新型コロナウイルスの感染拡大は世界中の航空会社、旅行会社、ホテル、観光バスなど様々な職業に前代未聞の影響を与えています。数えきれないほどの会社が倒産し、仕事を失った人の数も増える一方で、各国の社会と経済には大変な危機が訪れています。
そんな中、今回私はエバー航空と愛媛県のはからいによって、特別に愛媛の上空の旅へと出かけました。
エバー航空の代表者は『ずっと前から、日本は台湾人にとって一番人気の海外旅行先です。愛媛県の魅力を忘れて欲しくないという願いで、今回愛媛県とエバー航空とのコラボ体験「愛媛類出國專機(愛媛なんちゃってフライト)」が誕生しました。このイベントでは皆さんと共に、愛媛の上空を旅行します。存分に旅行気分を味わってください』と言います。
▲機内では愛媛県西条市の「西条祭り」の宣伝映像が流れています。
2021年3月27日、晴れ。朝7時半。
今回のチャーター便を申し込んだ旅客たちはたくさんの記者に囲まれながら、台北松山空港の一階にあるエバー航空の3番カウンターでチェックインの手続きをし始めました。
チェックインする際に必要なのはパスポートと「健康状況声明書」。
手続きを済ませると、搭乗券とチャーター便専用の「名札」が渡されます。
空港の2階にある保安検査場で検査を通過したら、いよいよ6番の搭乗口へ行くことができます。
搭乗口の手前に、「愛媛愛旅行~就是愛出國」というタイトルの愛媛観光物産フェスが催されていました。
会場には松山城、しまなみ海道など愛媛の観光地やグルメを紹介したボードの展示があり、愛媛の観光地図のチラシがたくさん置いてありました。
さらに、愛媛県の純米大吟醸「石鎚」、ブラッドオレンジ梅酒、みかんのお酒、今治タオル、瀬戸内レモンハンドクリーム、ROBLANG石鹸と梅山窯の砥部焼作品も展示されていました。
中でも人気だったのは愛媛県から空運されてきた、みかんジュースが出る蛇口。
このみかんジュースはなんと飲み放題でした。
物産フェスの会場では、来場者が記念写真を撮りやすくするため、「みきゃんと一緒に旅行しよう」、「無限の愛媛へさあ行くぞ!」、「みんなを連れて空を飛ぶ-エバー航空」、「愛媛〜私たちは行くよお〜」などと書かれた小さなボードが何個か用意されていました。
会場では記者が物産フェスの模様を報道していたり、乗客に今回の出国体験についてインタビューしたりしていました。
エバー航空が今回力を注いで企画したイベントは乗客全員から好評を博していました。
▲蛇口をひねるとみかんジュースが出てきます。
朝の8時50分頃、今回の出国体験の成功を祈るため、日本の伝統的な鏡開きが行われました。
台北国際空港主任、空港警察署、內政部移民署、財務省關務署などの空港関係機関の役員と協賛組織の代表取締役・管怡萱氏も来場しました。
エバー航空の空港本部副社長・葉時忠氏と客運バス営業部事業部長が一緒に司会をしており、スペシャルゲストの愛媛県特命副知事の「みきゃん」が出場すると、ゲストと乗客たちは一斉に盛大な拍手を送りました。
▲鏡開きを終えた後の集合写真
コロナウイルスの感染拡大防止のため、愛媛県知事の中村時広氏は実際に現場に来ることはできませんでしたが、動画にて登場されました。
動画では、愛媛と台湾との繋がりの深さ、そして政府間と民間の外交の深さを述べられ、「コロナが落ち着いて、再び直行便が飛び始める頃、ぜひ台湾の皆さんにも四国までお越しいただき、愛媛の魅力を味わっていただきたい」と話されました。
イベントの最後は「愛拼才會贏(アイピァージァッエーイァー/努力してこそ初めて成功する)」という閩南語の曲の大合唱でエンディングを迎え、現場のゲストと乗客たちの盛り上がりはピークに達しました。
「愛媛愛旅行~就是愛出國」のイベントが終わり、私は9時25分頃に搭乗手続きを始めました。
今回の飛行機はエアバス社が製造したエアバスA321-200双発ジェット旅客機。
好評につき、事前に販売されたビジネスクラス座席8席とエコノミークラス座席176席、合計184席は全て売り切れとなっていました。
搭乗する際には、一人一袋愛媛の物産が入ったお土産セットが配られました。
このお土産セットの中には今治で作られた「みかんハンカチ」のギフトセットが入っていました。
また、機内に着席するとシートのネットの中にお土産として純米大吟醸「石鎚」(180ml)が1本入っていました。
飛行機が一定の高度に達したら、機内では飲み放題パーティーが開始。
純米大吟醸「石鎚」をはじめ、みかんのお酒、みかんジュース、ブラッドオレンジジュース、ビール、コーヒー、烏龍茶など、さまざまな飲み物が提供されました。
乗客たちも免税商品を選んだり、購入したりして、とても愉快な雰囲気が漂っていました。
▲エバー航空の旅客機
▲搭乗口前、お土産を配っているエバー航空のスタッフたちの様子
今回の出国体験の協賛企業の一つ「伊台貿股份有限公司」の代表取締役・管怡萱氏は日本語をマスターしているだけでなく、いわゆる「日本マニア」。「管爺(管アニキ)」の愛称で親しまれています。
管爺はその昔、IT系企業に勤めていて、10年間にわたって日本へ海外赴任していました。そのうちに愛媛に住むようになり、赴任の最後の2年はずっと愛媛で暮らしたそうです。
仕事を辞めた後には、会社を設立。愛媛(伊予)の「伊」と台湾の「台」を組み合わせ、「伊台貿股份有限公司」と名付けました。
この「伊台貿股份有限公司」では、愛媛県のいいものを台湾の消費者に知ってもらうため、「愛優提提」という愛媛の工芸品と物産を販売するネットショッピングサイトを運営しています。
酒匠研究会連合会による日本酒の資格「酒匠」を持つ台湾人は現在6人しかいませんが、「管爺」はそのうちの一人。
この資格以外にも管爺は、台湾人向けの日本語ガイドやツアーコンダクターの資格も持っています。
そのため機内では、松山城、下灘駅、石鎚山、千と千尋の神隠しのロケ地だと言われている道後温泉本館、しまなみ海道のサイクリングロード、大街道商店街、今治タオルなど、愛媛の観光スポットや物産、グルメを詳しく紹介してくれました。
その中で、純米大吟醸「石鎚」、「みかんのお酒」、「ブラッドオレンジ梅酒」などの商品を生産している42ヶ所の酒造は「場所と気候」によって、それぞれの特徴があるという説明もしてくれました。
▲現場で展示されて、販売しているブランド日本酒「石鎚」
チャーター便が日本の上空につくと、パイロットさんが高度を低くして飛行しながら鹿児島県の火山「桜島」、熊本県の火山「阿蘇山」と宇和島、しまなみ海道、厳島神社の海上鳥居、松山城など、いくつかの重点スポットを紹介してくれました。
乗客も報道記者もみんな盛り上がっていて、写真をたくさん撮りました。
▲日本の上空にいる間、機内から眺められる景色
「会うは別れの始め」と言いますが、気づくと楽しいフライト時間も残りわずか。
飛行機は14時50分頃に台北の松山空港に着陸しました。
荷物を片付けながら、帰るのがすごく名残惜しくなってきました。
寂しい気持ちのなか、今回の充実な体験旅行は一瞬で終わってしまいました。
愛媛、またお会いしましょう。
コロナが終息したら、私たちは必ず愛媛へ行きます。
松山で働く娘に会いに行ったり、史跡を訪れたり、美味しいグルメを食べたりしたいです。
最後に、民間旅行と貿易のやりとりをより便利になって欲しいという願いで、コロナが終息する日を迎え、直行便が復航する時となったら、ぜひ今発着している桃園空港から、台北の松山空港と愛媛の松山空港との間に発着するように、調整することをお願いしたいと思います。